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夏が近付くことはいいことだ。朝の出勤は涼しいし、電車の中も涼しい。外は暑いけどそれは一瞬だけで、アイスでも買って食べていれば気分も良い。でもってオフィスに入ればまたしてもクーラーガンガンで涼しいからだ。夜寝苦しいのさえ我慢すれば、快適な一日が過ごせる。そして夏の良さは何も過ごしやすさに限ったことではない。女子が薄着になっていくのを見るのがまた愉しい。夏は昼、汗ばんだ白シャツは更なり。おなごの洋服ようよう薄くなりけるもをかし。ということでジャストミート夏のビキニを環礁ならぬ鑑賞することよりも、梅雨あたりからだんだんと女子の服装が薄くなっていく様を電車やなんやで味わいながらじっくり眺めるのが俺流粋な梅雨の過ごし方っていうもんだ。 駅のホームで薄着になった女子高生を眺めながら、アジサイについて考えている。アジサイのどこにエロスを感じうるかについてだ。アジサイには少量だが毒性があると聞いたことがある。あの男子はその毒性を鼻孔や皮膚や味覚によって感じることで己の、何らかの五感の一部を麻痺させることで官能を得ているのではないだろうか。一種の麻薬作用みたいなものだ。しかしアジサイに麻薬作用のある話なんて聞いたこともないし、そうであればもっと何かに取り上げられて一般常識として日常に浸透していてもよいのではないかとも思う。だとしたら、臭いか。アジサイの花の臭いが何か男子の記憶の中にエロスとして残っていて、それを確かめるように花の中に顔を埋め想像で股間を膨らませていたのではないか。 アナウンスがあって電車が駅に滑り込む。満員というほどでもないがこの時間帯は少し乗客が多く座席に着くことはできない。電車の中にいる間は、何故か右肩が呻る。それを受け入れるかのように、目を閉じて、目的の駅までじっとりと揺られている。 会社の席に着くやいなや、窓の外を確認する。昨日の男子がまたアジサイ畑にいるかどうかを確認するためだ。というかいた。小学校の授業時間が何時から何時までだとかいうことを俺は詳しく知らないが、今はたぶん授業中か朝礼の時間だろう。あの男子はそれをサボってアジサイ畑に佇んでいるのだろうか。それが彼なりの青春なのだろうか。ぼんやりと男子を眺めながらも手はキーボードを叩いている。でもこれじゃあちゃんとした原稿になんてならないだろう。とりあえず形だけ作って一段落したら、またあのアジサイ畑まで行くか。なんて思いつつ原稿を書き進めるも、前の予定(というか楽しみ)を保留して集中する事なんてできない性格の俺は、キャップを被りドトールへ向かった。昨日の反省を活かしてアイスカフェモカを頼み、テイクアウトの紙コップ片手に小学校までの道のりを歩む。歩きながら傍らに咲き乱れるアジサイを見ていると、なんだか自分も官能的な気分になったような気がする。そんなに俺は、人に影響されやすかったろうか。 アジサイ畑には全く昨日と同じ場所、同じスタイルで男子が突っ立っていた。いつまたお辞儀をするのだろうか、今日はまた違う一面を見ることはできるのだろうかと考えながら、俺は声もかけずただにやにやしながら男子の様子をこっそりと伺っている。 「なかむらくーん」 校舎の入り口あたりから、透き通った綺麗な声が響いた。俺がその声に反応するかしないかのところで男子はそちらに振り返りそわそわと身体を揺する。男子の視線の先には遠目からでも綺麗であろう女の姿。後頭部を一見しただけでわかる男子のニヤケ顔。一瞬で全てを理解できるくらいの華やかな雰囲気。男子にとってアジサイのような恋がそこに咲き乱れている。 小走りで近づく男子のアジサイたる女教師。茶色のタイトスカートと薄手の白いブラウス、巻髪が上品な薄化粧の女は俺から見ても美しく、セクシャルで可愛らしい。ここまで聞こえる彼の鼓動。そして高まる俺の好奇心。 「もう、すぐにいなくなっちゃうんだから。探したのよ」 女教師は少し困ったような顔をして、ナカムラに話しかける。 「ナカムラ君、アジサイが好きなのは素敵なことだと先生思うの。でもね、今は授業中。アジサイを見るのはそれが終わってからでもいいでしょう?」 ナカムラは先生に背中を向けるようにして上体を捻り、腕を組んで「ヤダ!」と拗ねる。 「ヤダじゃないでしょ?みんなナカムラ君のこと待ってるんだから」 そう言いながら女教師はナカムラの方へ歩み寄り、彼の肩にそっと手を乗せる。 「ヤダったらやなんだよぉう、むわぁぁ」 ナカムラが女教師に抱きついた。鳥肌が立つ。ここまで大袈裟なぶりっこ小学生、イマドキ珍しいのではないだろうか。ナカムラは、ビンビンに勃起した己のそれを女教師の膝に擦り付けながら分かりやすすぎる嘘泣きを続ける。 「じゃあ教室まで、先生と手を繋いで行こうね。先生も一緒なら、教室にも行けるわね?」 女教師は困った顔を更に歪め、ナカムラの頭を撫でながら言う。 「アイコ先生がだっこしてくれなきゃヤダ!むわぁぁぁ」 アイコ先生は解っているのだろうか、という疑問が頭をよぎる。ナカムラの下心や卑劣な心を、解って対応しているのだろうか。そうだったとしたら、というか教師たる者そうでなければ困ったもんなのだけど、どこか間の抜けたようなアイコ先生を見ていると、俺は不安を隠せない。 俺が不安を隠せない? 何故俺が不安にならなければならないのか。何故じゃないな。アイコ先生が可愛いからだ。というかナカムラが羨ましいからだ。ナカムラが憎らしいからだ。泣き声を上げながら、アイコ先生の胸の谷間に顔を埋め、唇の端をにやつかせているナカムラを、俺は許すことが出来ないでいるからだ。いやしかしだからといって、俺に何ができるわけでもない。俺が今すべきこと。それは会社にもどって原稿を進めることと、握りつぶしたカフェモカで、汚れたシャツを新しいものに着替えること。俺は大人だった筈だ。 続く #
by gennon
| 2005-07-07 12:40
大人になってから治った癖がある。鼻くそをほじることだ。 治ったからこそここにこうして書くことが出来るのではあるが、 それでも過去に鼻くそほじりの癖があったことをおおっぴらに知られるのが恥ずかしいという気持ちが裏での更新になったいきさつなのである。 しかし果たして、鼻くそほじりは治さなければならない癖だったのだろうか。 人はほっておいても鼻くそが溜まる。それをどうやって処理するのがオフィシャルなのか、誰か教えて欲しい。 僕は鼻くそをほじる癖がなくなったと書いたが、だからといって鼻の穴がなくなるくらいくそを溜めているわけではない。結局ほじっているのだ。 癖がなくなったと書いたのは、方法を変えただけの話なのである。 素手からティッシュ越しへ。 しかしだからといって、これが正しい鼻のほじりかたかと問われれば、自信を持ってはいと答えることは出来ない。こんなこと学校じゃ習わなかった。でも何となく、素手で鼻くそをほじることが汚い行為なのだということが大人になるにつれてうっすらと解るようになり、人前では鼻くそをほじらなくなる。そして陰に隠れてこそこそと鼻くそをほじり続けて十数年、やっと気づいたことがこそこそしているのはよくないということだ。だからといって人前で鼻くそをほじっている人なんて見たことがないし、それが出来るほど僕には度胸も諦めも人生捨てる気もない。そうして思い立ったのが、ティッシュ越しにほじるという手段だ。他人の鼻くそほじりの瞬間を目撃したことのない僕は、あたかもそれが公式であるかのように堂々と、鼻くそをほじる。 他の人はどうやって鼻くそをほじっているのだろうか。その疑問を不安を払拭せんがために、僕は人前で鼻くそをほじる。他の人のほじり現場を僕が見たことないのは、みんな隠れてほじっているからだと思う。 隠れると言うことは多からず見られちゃ恥ずかしいから隠れるのであって、ということは大半の人が素手で鼻くそをほじっていることになる。数年前のぼくのように。でもそれはやめたほうがいい。 ティッシュ越しの鼻ほじりがなんかごわごわして気持ち悪いと思うかもしれないが、治した方がいい。 爪が伸びていて鼻血を出すかもしれない。好きな人に見られて嫌われるかもしれない。そもそも隠れてこっそりやることにろくな行為はない。 だから僕はみんなの前で、ティッシュ越しの鼻ほじりを提唱する。無言で。 鼻くそをほじるだけで、僕は世の中に何かしら叫びをあげられたらと思う。 そうしてそれに答えてくれる人が出てきてくれたらと思う。 仕事をしながら、鼻くそをほじりながら、僕はそんなことを考えている。 #
by gennon
| 2005-06-17 22:23
右肩のちょうど真ん中にある切り傷?刺し傷? いや、誰かに刺されたわけでも切られたわけでもないのだけど、その傷にまつわる面白いエピソードなんて一つもないのだけど、とにかく前からあった傷がズクズクと軽く唸るような気がして目が覚めたのが今朝だ。 たいした痛みがないのは幸いだが、その痛みは忘れるか忘れないかの瀬戸際くらいのタイミングでまたズクズク唸り始めるもんだから、キーボードを叩く手に集中力を集めることが出来なくて手の甲の、皮のところをぎりぎりと咬んで引っ張る。手の痛みなんてそこだけがジンジンするだけだし一時的なものだからすぐに消えてなくなってしまう。その間だけ、おれは完全に肩のズクズクを忘れることが出来る。 ジンジンとズクズクのせめぎ合いで仕事どころじゃなくなった俺はふと窓の外に目をやる。 外は雨がまだあがったばかりでどんよりしながらも固く、重い空気が下界にゆっくりと降りていくようで、その空気の流れを12階のオフィスから目で追いながら視界終点のアジサイ畑をぼんやりと眺めた。 小学校の裏庭に咲く無数のアジサイ。そのアジサイたちの真ん中に、独り佇む小学生。いーなー。なんて無責任に小学生を羨んで、でも小学生には小学生の悩みやなんやがあるやもしれん。むやみに隣の芝を青くさせるのはよそう。そんなホタルイカのさきっちょみたいな考えは拭い去ろう。とにかく今は目の前の原稿を上げるのが先だ。俺はもう一度手の甲を咬んで、痛みが消るまでの合間合間を縫いながら、激しくキーボードを叩く。「いまドキ!小悪魔女子大生NG男10の条件」そんなもん知るかっ!とか思いながら叩く、叩く叩く。 我を忘れて“いたこ状態”で叩きまくった結果が功を奏したのか、原稿はなんとか形になった。 これで俺も小悪魔女子大生にNGを出される心配はないだろう。まぁそんなのに関わり合う機会なんてないのだが。 とりあえず一段落してドトールにでも行こうかと上着を羽織ったところでなんとなくもう一度窓の外を眺めると、あれから3時間は経とうとしているのにも関わらず小学生はアジサイの真ん中で、ボーっと突っ立っている。やっぱり悩みなんかないんじゃねーの?とか思いながらドトールに行ってカフェモカホットをテイクアウトで買った俺はその小学生の悩みの有無が気になってアジサイ畑に向かう。いや違う。小学生の悩みの有無なんて全く興味がない。二つ目の原稿に入るのが面倒だったから、単純に現実逃避をしている。 小学校のフェンス越しに見えるアジサイ畑は俺の身長より僅かに高いところに位置していて、小学生がこっちを見たときにはそいつに見下ろされるのだろうなと思いながら少し背伸びして中をのぞき込む。 遠目では分からなかったがマンガみたいにそのまんま、体操服を着て赤帽をかぶった見本のような男子がアジサイをじっと見つめている。男子がアジサイに思うこととは?知るかっ!そんなもん。 しかしながら小悪魔女子大生と違ってアジサイを見つめながら何時間も物思いに耽る小学生男子がその辺にごろごろしているとは思えず、だったらやっぱしちょっと気になるんじゃない?この男子が何を考えているのか。 男子は俺がフェンス越しに見ていることにも気が付かず、ただアジサイの花をボーっと眺めているだけだ。 眺めているだけ。かと思えば突然アジサイの中にお辞儀をするみたく顔を突っ込んで、動かなくなった。両手はきっちり横に「きおつけ!礼!」をしたかのようにまっすぐで、アジサイの花に顔を埋めたのである。 何だコイツ。俺が唖然として(たぶん口は開いていたと思う。阿呆みたいに)見ていると男子はガサっと顔を上げてまたアジサイを見つめたまま突っ立っている。 深く「礼!」をしすぎたせいで、髪の毛とか顔には細かい枝とか葉っぱとかが突き刺さったりくっついたりしていて、あれほど勢いよく、しかもためらいなく花に顔を突っ込んだらそりゃあ痛いし細かい傷もつくし、ある程度勇気のいることだろうと思うのだけど、男子はそんなこと全く気にならないようで、ただ今はアジサイの花を見ることだけに集中している。そしてまだ俺が見ていることにも気が付いていない……。 気になる。 これが気にならなくて、何がこの世で気になるというのか。中学生が考えるパンティの中身よりも気になる。俺は少し躊躇ったが、声をかけてみることとする。 「よう少年。何してんの?」 「別に」 男子は俺の方を一瞥してそれだけ言うとアジサイに視線を戻した。その態度に苛立ちはしない。俺も大人だからだ。でも何というか、何だろう。そうではない憤りが俺の中を微かに通り抜ける。顔がむかつく。太いゲジゲジ眉毛をハの字に曲げて「別に」だって。なんだコイツ。むかつくなぁ。でもそこは俺も大人だ。感情をグッと腹に押し込んで穏やかに、かつフランクにもう一度話しかける。 「アジサイ、好きなの?」 「別に」 今度はこちらを一瞥もせずに、男子は小さくつぶやいた。明らかに機嫌が悪いのだということを精一杯俺に伝えているらしかったが、そんなことで俺はめげない。怒りもしない。俺は大人だ。このちんけな男子の二倍以上人生を歩んでいるのだ。いちいち怒ってられるほど、残念ながら俺も暇じゃあないんだ。落ち着け落ち着け。隣人を愛せだ全く畜生め。なんて思っていると右肩がまた呻いてくるし、わけわかんねえけど何か右手も痛い。というか熱い。ということで右手を見てみるとさっき買ってきたカフェモカ(超ホット)の紙コップが俺の手の中でクシャっと潰れてて中身がだらだらと手から手首を伝って地面にポツポツこぼれていっている。あ!もったいねーあつーもったっつー!とか言って、てんやわんやになって社会人の癖にハンケチーフなんぞ持ち合わせていないからもう大変。こりゃやべーってことで小学生なら親からハンケチーフ持たされているだろ、と思って男子の方をみたのだけど、男子の姿はもうアジサイ畑の中にはなくて、その向こうの校舎の入り口辺りまで歩いていってしまっている。俺はハンケチーフだけでも借りようと男子を呼び止めるべく息を吸い込んだのだがあいつのことだ、「別に」とか言いながらかもしくは何も言わず俺を無視して去っていくだろうから吸い込んだ息を途中で飲み込んで呼ぶのをやめた。それが大人ってもんだ。もんなの?で、結局俺はあの男子があそこで何をしてたかってことの真相を掴めなかったのだけど一つだけ分かったことがある。いっちょまえにあいつ、勃起していやがった。アジサイ畑で一人エロい妄想にふける小学生。俺の観察力は意外と鋭いところもあるのだ。 つづく 続きは書けたら書きます。 #
by gennon
| 2005-06-17 19:26
インスタントみそ汁の、 あのお湯を入れすぎたときの悲しみと言ったらそれはもう。 もう一袋味噌を入れようかな。なんて考えていたのですが これではいかん。 塩分糖分からから病になってしまいます。 ※塩分糖分からから病 海水を甘くして飲もうと試しみて砂糖を大量に入れ、 入れすぎで甘くなったから塩を足して 塩辛くなったから砂糖を入れ…… その結果、体温が急上昇し、水をも蒸発させてしまうという 恐ろしい病気。 ドンガバチョがその病と闘っていました。 何? #
by gennon
| 2005-03-17 05:45
iPod 20G購入です。 今日は仕事もそこそこに、iTune & iPodと格闘中。 なんか不親切だなぁなんて思うことも多々ありつつ とりあえずOS9の環境で繋ぐとアイコンが出てこないので再起動。 これじゃあフリーズしたのとかわんないやん。 データ管理用に買ったのに、これじゃ意味無いやん!とか思いつつ 中古でOS9用のやつ買えば良かったよ。。。 つか、音楽だけなら他のHDDの方がヨカッタよ…… 20Gも何入れよう…… #
by gennon
| 2005-03-15 20:19
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